【業界用語】飲食店で使われる隠語たち

こんにちは。chaboです。

日々パソコンに向かって仕事やブログをしているワタクシではありますが、今はこんな感じでも、過去にはいろいろなお仕事をしておりました。

その中で、東京にお住まいの方ならだれでも知っている、東京周辺に古くから展開しているチェーン喫茶店で働いていた時期があります。

ソファーが柔らかい感じの、画家風の名前のアノ喫茶店です(笑)

意外と知られていないのですが、あの喫茶店は直営店とフランチャイズ店舗とがあります。

直営店はみなメニューが同じなんですが、フランチャイズ店舗はメニューが違うんですよ。今度一度比較してみてください。ちなみに私が働いていたのでは直営店のほうです。

隠語という文化

これは飲食店に限らず、いろいろな業界に存在しますね。百貨店などの小売業からマスコミ業界、私の勤務する情報サービスや開発のお仕事でも使われます。

まあ、IT系の用語というのは、特に隠語として使っているというよりは、他に用語がないので自然と使っているという感じでしょうか。例えばKPI(Key Performance Indicator)とか、PDCA(Plan Do Check Action)とかって、すでに一般的な言葉になってきていますが、なかなか適当な他の言葉がありません。KPIは日本語にすれば「指標」でしょうかね。でも「指標」と言われても普通の人はあまりなじみがないですもんね。

意味的には定量的なパフォーマンスを示す言葉なんですけど、業界ではKPIで通ってしまうので、KPIは良く使われます。

IT系の言葉はあまり面白みもないので、今日は独特の言葉が使われている飲食店での隠語について、昔の記憶を掘り起こして(笑)紹介してみたいと思います。

オーダー関連

まず、オーダー関連の隠語(というか略称)です。通常オーダーを受ける際には「通し」といって、調理する人へ略称で伝えます。「お客さまからのオーダーを受けて、それを通す」わけですね。

オーダーの通し方としては、先に数量をつけます。一つの場合はつけません。二つ以上からつけます。「ツー○○、スリー××お願いします」と言う感じですね。

私が働いていたころは基本的にオーダーを受けたら暗記していました。さすがに10人とかになると覚えきれませんので、メモ帳とペンを持ってオーダーを伺いに行きますけど。

今はみんな電子手帳みたいなものをもってオーダーを受けてますね。あの端末にオーダーを入力すると、オーダーが通って伝票も発行されるのですから、便利になったものです。私たちのころは暗記したオーダーを通して、自分で伝票を発行していました。

さて、このオーダー通しに使われる隠語(略称)ですが、一般的なものをいくつかご紹介したいと思います。

ホット・アメ

ホットコーヒー・アメリカンコーヒーのこと。いまはラテとかモカとかいろいろな飲み物があふれてますが、私がいたころの喫茶店はオーダーの大部分がコーヒーでした。これは今でも基本的に変わらないんじゃないでしょうか。どうなんかな。

レティー・ミティー

モンティールクティーのこと。

オジュー・グジュー・トマジュー

お重じゃないですよ?(笑)

レンジジュース・レープフルーツジュース・トマジュースのことです。

アイス・アイティー

アイスはアイスコーヒー、アイティーはアイティーですね。たいして略してませんが・・

クリソ・コフロ・ラフロ

クリームーダ、ーヒーフロート、コーラフロートですね。コーヒーフロートとコーラフロートはどちらも頭が「コ」なので、コーラのほうが「ラフロ」になります。

ミーサン

これはックスサンドの略です。サンドイッチはいくつかあって、ミックスサンドは全部入りです。タマゴ、ハム、キュウリ、トマトが入ります。

施設・備品・設備関連

ホール

お客様エリア(あるいはその担当)のこと。パチンコ屋さんでもホールスタッフとか言いますが、飲食店でも一般的にホールと言います。

カウンター

これは調理場のことです。「バーカウンター」と同じような意味合いかもしれません。通常喫茶店レベルであれば、作る商品も限られますし、カウンターは基本的に狭いですから一人で担当します。飲み物や軽食を調理したり、仕込みをしたり、洗い物もします。忙しいときはいかにこれらを効率よくやるかが勝負です。

オーダーが出てくるのが遅れれば回転率が悪くなりますし、洗い物がおろそかになればお客様に出すグラスが枯渇します。なので、デキル人=カウンターという感じでした。

アメカップ

アメカップといってもヨットじゃありません(笑) アメリカンコーヒー用のマグカップです。アメリカンは通常のコーヒーと比べて薄いが値段は一緒。ですから、その分容量を大きくするため大きめのカップになります。

ゴブレ・ジューグラ

ゴブレは正式名はゴブレットといってワイングラスにちょっと似た形です。下のガラスの細い部分が長くなっているグラスで、アイスコーヒー用です。ジューグラはジューグラスの略。ジュース類やアイスカフェオレとかに使います。細長いグラスですね。

ソーサー・ピッチャー

サミーソーサーがピッチャーになったわけではありません(笑) ソーサーはカップを乗せるお皿のこと。ピッチャーはコーヒーフレッシュミルクを注ぐための容器です。お店によってはミルクだけではなくいろいろなものを注ぐ容器として使ったりしますね。

ヒヤタン・茶タン

「タン」はタンブラーの略。ヒヤタンはお(水)を入れるタンブラーでご新規のお客様へ必ず出すものですね。実はコレ、透明なタンブラーを使っているチェーン店と薄い茶色のタンブラーを使っているチェーン店があります。見たことないですか?茶色のヒヤタン。

私のいたチェーン店は透明でしたが、聞くところによると色つきのヒヤタンは汚れを目立たせなくするため、と聞いたことがあります。本当かどうかはわかりませんが・・・

茶タンはその名の通り、「お」を入れるタンブラー。要は湯飲みなんですが、必ずすべてのお客様へお茶を出すのがこのチェーンのルール。とはいえ、すぐに出て行ってしまうお客様にはお出しできないこともあったのですが・・・

シルバー

これは、いわゆるスプーンです。コーヒーカップに添える、シュガーやミルクをかき混ぜる際に使う小さめのスプーンをシルバーといいます。

チェスター

マンチェスターではありません。チェスターです。お冷を注いで回る際にホールスタッフが持ち歩くポット状の容器です。ラーメン屋さんなどのテーブルに載っているお冷のポットもチェスターです。

伝発

行機の略。今は自動だと思いますが、私がいたころは画面に入力すると、オーダーの内容と価格がドットプリンターで印刷されて出てきました。これが壊れると営業ができません(汗)

寸胴・ヤグラ

よくラーメンの出汁を取るために煮込む銀色の容器を見かけると思いますが、あれが寸胴です。アイスコーヒーを抽出する際に、銀色の棒が輪っかになって円柱状になっている道具があって、これをヤグラと呼びます。この輪っかの部分にアイスコーヒー用の豆(挽いてある粉状のもの)を入れ、寸胴の中に置いて上から少しずつお湯を注いで抽出します。

これは結構技術が必要で、下手な人がやると苦~いだけのアイスコーヒーが出来上がります。

グリストラップ

これはカウンター内にあります。シンク(流し)の下に、沈殿槽のような箱があって、排水が一旦ここに入って大きなゴミがここに溜まっていきます。これを一カ月に一度ほどの頻度で掃除しなければならないのですが、これが臭っさ~いんです(笑)できればやりたくないお仕事でした。

業務連絡関連

4番

これは有名ですね。トイレのこと。店によっては3番だったり10番だったりします。サービス業、それも接客業ではトイレとか、お客様の前で言うことは憚られます。

使い方としては、「4番行ってきます」ですね。ちなみに私がいたころの店長は、なにも言わずに片手で指を4本立てて、トイレに消えて行きました。結構便利な用語です。

ヘルプ

他のお店で欠勤が出たり、予想外の繁盛のために駆り出される他店からの応援のことです。私が勤務していた場所の近くには劇場とかがあって、結構駆り出されました。ただ、同じチェーン店といえどもお店のつくりが違うので、慣れるのが大変です。

超早

シフト勤務で、早番とか遅番とかがありますが、朝一は出勤前の常連サラリーマンが朝食を取るために、モーニングメニューの仕込みをしないといけません。その担当シフトです。お店の開店は7時でしたが、6時には入って仕込みをします。

どんなことをするかというと、

  • 卵をゆでる
  • パンをスライスする
  • コーヒーを落とす(抽出する)
  • サンドイッチを作り置きする
  • 氷の準備
  • 簡単な清掃と看板出し

これだけを一人で1時間でやらないといけないので、かなり忙しい(笑)

ちなみにゆでる卵はだいたい30~50個。パンはイギリスパン一斤で朝配達されてくるので、それを均等に20枚切りします。トースト用は分厚めに切ります。

朝P・昼P

この「P」は「Peak」の略。朝一の常連さんは出勤前に集中するため、7時~9時が最も込み合います。これを朝Pといい、昼は12時~13時のお昼休み時間帯が込み合うので昼Pです。ここは重要なお店の稼ぎ時ですので、シフトもこのピークを中心に人を配置します。

ワンワン・ワンツー

これはカウンター・ホールのそれぞれの配置人数です。カウンター一人に対してホールが一人なら「ワンワン」、ホールが二人なら「ワンツー」です。ものすごい暇な時間帯などは「ワンゼロ」!!とかもありました。一人でカウンターもホールもこなすというシフトです。

昨今騒がれているワンオペとか、昔は良くやったものですが、今はたぶんダメでしょう(笑)

合算

「がっさん」ではなく、「あいざん」と読みます。シフトが切り替わるタイミングでレジを閉めるのですが、これで登録された売上金額とレジ内の金額が合えば「合算」です。金融業界でも「合算」というと思います。

銀行は窓口が15時に閉まってしまうのが普通ですよね。部外者からみると、もう少し遅くまでやっていてほしいところですが、あの後銀行ではひたすら現金の確認をしています。1円でも金額が合わないと仕事が終わりません。

だから「合算でーす」の一言はとっても重要。さすがに喫茶店ではそこまで厳しくはありませんでしたが・・・

隠語は業務を効率よくこなすためと、敢えて一般的でない言葉を使うことで現場クォリティを保つための重要なアイテム

私たちが普段利用している喫茶店ですが、裏ではいろいろと業務がスムーズに進むように言葉の面も工夫されています。

また、「4番」の例にもありますが、敢えて一般の人には意味不明な言葉を使うことで、雰囲気を壊さず、お客様にいい気持ちでいてもらおうという気づかいも含まれています。

隠語には意外といろいろと知恵が盛り込まれているのです。こういったことはとても重要ですね。

今度喫茶店に行ったときに、「アメとミーサンね!」とかで注文してみてください。きっと「何だコイツ?」というような視線を向けられること請け合いです(笑)

勇気のある方、ぜひお試しを。