【連載】俺の相棒(5)~夢と現実の間に

遥かなる夢の面影

低い潅木が辺りを埋め尽くす。

気がつくと私は朝靄が立ち込める湿地のようなところにいて、足元には潅木の間に細く長い木道が伸びており、その先は朝靄の中に消えていてよく見えない。

何かに誘われるように、木道の上をゆっくりと歩き出すと、ところどころに小川が流れていて、その水面は鏡のように穏やかだ。

遥かなる夢の面影

Photo by (c)Tomo.Yun

昔、この風景をどこかで見たことがある。

そう思いながら歩いていくと、朝靄の中で手招きをする人がいる。

顔はよく見えないが、私の名を呼び、手招きするその姿は、多分母だ。

そうだ、ここは家族で子供の頃に訪れた尾瀬の景色だ。

そう思ったら、なぜだか急に嬉しくなって、一目散に手招きをする母の方へ駆け寄った・・・

 

「宅配便です」

 

インターホン越しのリアルな声で私はベッドの上で目を覚ます。

私は夢を見ていた。

とても懐かしい、決して戻ることのない子供の頃の夢を。

 

寝ぼけ眼のまま玄関先で荷物を受け取り、そばに置いた。

外はすでにもう昼前。

昨晩は更新するつもりだったブログの内容について、あーでもない、こーでもないと考えを巡らせた挙句、結局記事を投稿しないまま寝てしまった。

 

今日は休日。

忙しない平日の朝と違い、いつもよりゆっくりと時間が流れる。

私は、顔を洗い、コーヒーを入れ、トーストを焼いた。

 

テレビを見ながら、焼いたトーストを頬張る。

文字どおり、「雲が晴れた」ように、外は良い天気だ。

私の気分は明るく、清々しく、軽やかだ。

 

そして・・・

先ほど受け取った宅配便の荷物。

三日前に悩んだ末に出た結論。

「心の欲するままに」新たに迎え入れることにした「新しい相棒」が中に入っているはずだ。

 

「さてと」

私は声に出して立ち上がり、先ほどの荷物を手元に引き寄せ、梱包を解き始めた。

箱の中身

そこには白い箱と、そこに描かれる特徴的な本体の写真がある。

まるで貴重品を扱うような手つきで箱を開け、丁寧に中身を取り出す。

 

MacBook 12inch Retina スペースグレイ

 

「こんにちは。これからどうぞよろしくね。」

彼女はそんな風に話しかけてくれた気がした。

 

窓の外のいつもと変わらぬ風景は、すでに陽も高くなり、一層明るさを増していた。

真冬だというのに、ぐんぐんと暖かくなってゆく。

 

「こちらこそ、よろしく。」

私はそう言って、USB-Cケーブルをそっと彼女のコネクターに挿し、最初の充電を始めた。

次回予告

遂に、MacBook 12inch Retinaと対面したちゃぼP。

彼は小春日和の陽気の中、高ぶる感情を抑えながらも新しい相棒との未来に期待を隠しきれないでいる。

だが、今朝見た夢は途中で終わっている。あれはただの記憶の気まぐれからなる夢だったのか?

物語はまだ終わらない。次なる彼に待ち受ける未来は一体何なのか?

因縁と宿命に導かれるかのように展開する彼の未来を、どうか次回も見届けて欲しい!!

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