【アンソロジィ】グッバイ〜あなたに

グッバイ。

過去の私に投げかける。

 

グッバイ。

そこに、忘れたい過去があるから。

新しい私を見つけたから。

 

グッバイ。

今私の瞳に映るものは、新しい世界。

淀み、くすんでいた灰色の世界に、鮮やかな色とりどりの風が舞い込む。

 

勇気

街にレンズを向ければ、キラキラと笑いながら行き過ぎる人。

反対に、深刻そうに一寸先をじっと見つめならが下を向いて歩く人。

そんな人にカメラを向ける。

 

カメラのファインダーを覗いた瞬間に、私の手にはらりと舞い降りる一片の温もり。

私は精一杯の気持ちで、思いのままに文章を書き、ありのままの世界を写真に撮り、作品にする。

 

悩みを抱えた人の深刻な表情、未来への希望に満ち溢れた若者。

冬の終わりを告げる生暖かい風や、膨らんだ桜の蕾。

 

道端に転がるちっぽけな小さな石ころさえ、どれを取っても私には愛おしい。

 

心に、小さな小さな夢が灯をともして、一歩、また一歩と前に進む勇気が生まれる。

自分を変えたいと思ったあの日。

どうせ変わらないと思ったあの日。

その間で頼りなくゆらゆら揺れていた。

 

たとえ少しずつでも、人とやり方が違っても、

必ずきっと、それぞれが笑顔で居られる時間があると信じてる。

今ならそう思える気がする。

 

悲しいことはたくさんある。

今日はいいことがあった、そんな日の翌日に辛いことがある。

なんでうまくいかないのだろうと悩んだ、あの日。

世の中には、悲しいことと嬉しいこと。それは半分つづじゃない。

おそらく悲しいことの方が少しばかり多い、そんな気がする。

 

でも、皆に平等に時は流れて、夜は更けていく。

きっと明日はいいことがある。

悲しいことなんて、朝が来たら捨ててしまおう。

 

孤独。

たった独りでいる寂しさ。

そして、大勢の中でもし自分がここで忽然と姿を消しても、誰も気づかないんじゃないかと思うような寂しさ。

グッバイ1

辛いと思った私を、必ず誰かが見てくれている人がいる。

きっといる。

神に見放された人なんていないはずだ。

 

長いトンネルから抜け出せずに、何度も挫けそうになって、やっと見つけた遠くの光。

そこにともる光は、孤独な私の道標。

一心不乱にその光を目指して歩けば、辛いことも忘れてしまうさ。

 

あなたに。

夢。

それは叶うかどうかはわからない。

叶うか叶わないかは結果論だ。

何より大切なのは、夢を持つこと。

そしてそれは何より尊いもの。

 

心。

それはガラスのように簡単に落とせば弾けて割れてしまうもの。

一見強そうに見える大木だって、そよ風で枝を折る弱さがある。

軽く踏みつければしおれてしまうような道端に咲く花は、めげずにコンクリートの裂け目から芽を出し、陽の光を求めて地上に花を咲かす強さがある。

強い人だって弱いし、弱い人だって強いのだ。

 

勇気。

誰に勝たなくてもいい。

自分に勝てばいい。

思いのままに、自分の足で、少しずつでも前に進めば、

例え思っていたものと違っていても、何かが実る。

 

愛。

例え愛する人の記憶からあなたの記憶がなくなり、あなたが傷付いても。

例え時が大切な人を変え、あなたを悲しませても。

必ず時を超えて、あなたはその手で人に与えた愛は、消えずにあなたの後ろからあなたを守っている。

その愛は、あなたに必ず、優しい。

 

 

 

グッバイ。

昨日の自分。

 

グッバイ。