第二章 誘引作用
そこはちょっとした楽園であった。
私の大好きなカメラたちが、肩を寄せ合うようにして所狭しと並んでいる。
一番手前には流行のミラーレスカメラたち。それらはビックリするくらい小さく、それでいて一眼レフカメラと同じくらい素晴らしい写真が撮影できる。
電子ビューファインダーを覗きながら、私の心は大きく揺れ動く。
キャノン、ニコン、シグマ、パナソニック・・・
店頭で触っているだけでは操作感の違いくらいしか正直わからないが、ミラーレス一眼の大きさは正直いって大きな魅力だ。
そういえば部長スタッフ(というかプロデューサー)たけPは、デジタル一眼のEOS Kiss X7を売却して、ミラーレス一眼のEOS M3を購入したという。
http://nabi1080.com/camera/eos/55063
そしてプロカメラマンのカメ仙人。
http://nabi1080.com/camera/eos/54987
プロのカメラマンですら、M3を購入している。確かに、それくらいの魅力がこのカメラにはある。
私は一眼レフを買う前は、ずっとキャノンのコンパクトデジカメIXYシリーズを使っていた。だから、操作感はおそらくソレに近いし、他にもカシオとかパナソニックのコンデジも使ったが、いまいち操作感がしっくりこず、結局IXYに戻った記憶がある。
そんなカメラのミラーレス版だ。しかもチルト式の液晶モニタ、ストロボ内蔵、外付けにはなるが電子ビューファインダーにも対応している。
そして、キャノンのデジタル一眼用のレンズを持っていると、マウントアダプターというものを使えばレンズ資産はそのまま利用できるらしい。普通の使い方であれば、軽いカメラのほうが機動力に優れていることは明らかだ。
手元にあるレンズはそのままに、本体が小さくなって気軽に持っていけるようになる。これだけで買い換える価値はある。
私の心は再び大いに揺れた。ただ、冷静に考えると、ニコン党の私にはキャノンのEFマウントのレンズ資産はない。同じミラーレス一眼なら、「ニコン1」を購入するのが自然だ。
だが、私の所有するNikon D5500は、一眼レフでありながら驚くほど小型であり、ミラーレス程ではないが充分に軽量だ。
そう考えると、小型で軽量なD5500から、同じニコンのニコン1に変更することは果たして賢明な選択なのか?
ニコン売り場に立たずんだ私は、しばし考えこんでしまった。
D5500と純正ニッコールレンズ、それと純正マクロ40mm。カメラは下取りに出すとしても、これらのレンズをニコン1に装着して持ち歩くのはちょっと現実的ではない気がした。あまりメリットが感じられないと思った。
もう一度キャノンコーナーに足を伸ばし、ミラーレスのM3を手にとって見る。
「わたしにもしキャノンのEFマウントのレンズがあったなら・・・」
私は静かにカメラを売り場に戻して、一つ向こうの島にあるコーナーに向かった。
そして・・・
そこには、私を待ち受けるためにデイスプレイされた、スターたちが待ち受けていたのである。
次回予告
ミラーレスカメラに大きく引き寄せられてゆくちゃぼP。
そこには驚くほど完成度の高い、コンパクトで魅力的なカメラが並んでいる。
ニコン党な私は、手元にあるD5500を肩にかけたまま、なかなか踏ん切りがつかず、他のいいアイデアも浮かばないまま、カメラコーナー一番奥に足を運んで衝撃の体験をすることになる。
次回の「燃ゆる夏」は、その体験が私の未来を大きく変えてゆくことになる物語になる。
更新を静かに待て!